ISBN:4101250111 文庫 いとう せいこう 新潮社 1991/05 ¥380

重松清のエッセイ『セカンド・ライン』の中で紹介されていた一冊。
いとうせいこうといえば、僕の中では未来日記シリーズのいくつかを担当したという印象しかない。
どんなものを書くのだろう、と期待半分でページをめくった。

子供達に大人気のディス・コン・ゲーム『ライフキング』。
外見で見分けは付かないが、実はストーリーが少しずつ違う?から?まであるという噂があった。
いずれ「?がある」「?から派生した別のゲームがある」「呪われたバージョンのライフキングが……」と噂は派生していく。
その噂がはじけた時、子供達は闘い始めた。

何と言うか、リアル。
物凄くリアル。
子供の頃、都市伝説とか他愛もない噂話に興じたことがある人ならば、身に染みるのではないだろうか。
ファミコンゲームで裏技を探し、情報を交換していた人も。
身に覚えがあるから、ストーリーが迫ってくるような印象を受け、一気に読み終えてしまった。
ホラーでもサスペンスでもないのだけど、なんだろう。
懐かしさと怖さの入り混じったような、変な気分に襲われる。

解説の岡田幸四郎氏が「子供はやがて死ぬ。子供でいられなくなる。永遠の子供はいない。」と。
人々が大人になるのは成長であり、死でもあると。

もし僕がこの物語の登場人物だとすると。
僕は、ノーライフキングには絶対に勝てない。
「むらさきカガミ」や「黄色いミイラ」という言葉を知って、心から怯えていた僕が勝てるわけがない。

今はそんなことを微塵も信じていない僕がいるが、だとしたら。
僕の中の子供は、いつ死んだんだろう……。

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