「ユタと不思議な仲間たち」を観てきた。
原作を読んだことはなかったが、テレビCMを見て興味を持ったから。
「日本のミュージカルはこんなに面白いものだったのか」というふれ込みと、CMで見たダンスがどう見ても藤井隆の「体の一部がホット!ホット!」のダンスにしか見えなかったから、どんな話か生で確かめたかったのだ。

浜松町にある、「四季劇場 秋」
今回はお金の関係でバルコニー席(4200円)を取ったのだが、3階最前列だったので見える見える。
上から見下ろす形になるのは仕方がない。
2年前に『CATS』を観た時は2階だったが、同じようなものだった。

東京から東北の村に引っ越してきた水島勇太。
けれど、正しい名前ではなく「ユタ」と呼ばれ、「もやしっ子」といじめられる。
ある日もいじめられていたが、次々と不思議な出来事が起こって勇太を助ける。
それを「座敷わらしのせい」と聞いた勇太は、満月の晩に座敷わらしが現れるという離れに泊まり、彼らに出会う。
座敷わらしたちは、過去の飢饉などのために、生まれてまもなく間引きされた子供たち。
勇太がこの村で生きていけるように、力を貸す。

話のテーマは「生きていることの素晴らしさ」と「成長」ということで重い。
「友達はいいもんだ」って、このミュージカルの歌だったのか。
これと合わせて歌われる「生きているって素晴らしい」
「死にたい」という勇太にペドロたちが切々と語りかけるように歌うもんだから、まだ一幕なのに涙ぐみそうになってしまった。

でも、座敷わらしたちのお茶目さや現代風アレンジが重さを少し和らげる。
二幕はじめの、数学の時間のいたずらには笑わずにいられなかった。

四季のキャストには詳しくないが、下村さん、あなた最高です。
妖艶なヒノデロが十二分に表現され、あのバトンの扱い方。
増本さん。格好良すぎます。
素晴らしい歌声(いや、もちろん全員素晴らしいのですが)、男性役を演じられていましたがあの立ち居振舞、惚れました。
田邊さん、セリフの語尾に少し違和感を覚えましたが、歌声は素晴らしくダンスのキレの良さに圧倒されました。

「ホット!ホット!」のダンスも堪能。
あれ、とても大事なシーンだったのですね……。

四季のステージは相変わらず舞台装置が凝っている。
座敷わらしが初めて現れるシーンでは、レーザー光線で舞台の奥行きをとても広く表現。
ピアノ線を使った空中浮揚など、ステージの全体を大きく使った演出をしてくれるから驚かずにはいられない。
幕が下りて1分ほどで全く違うステージが出来上がったりするのだが、どのような仕掛けなんだろう。

セリフは全て南部弁を基調にしているので、聞きづらい言葉もあるが、内容は十分理解できる。
でも、はじめの座敷わらしたちが自己紹介しながら歌う
「わだ わだ あげろじゃ ががい」
全く意味がわからなかった。
が、ストーリーが進むと、その意味が語られる。
お母さんなんていなかった、生まれてすぐ死ぬという運命を辿った彼らが言ったと思うと、物凄く悲しくなった。

終演。
僕も目頭が熱くなっていたが、周りには号泣してハンカチを握り締めている人が多かった。
少し説教臭いところがあるので、もしかすると、小中学生にはピンとこない作品かもしれない。
でも、ストーリー全体で感じ入るものは必ずある。
見にきて本当に良かった。

終演後トイレに行くと、そこにいた父が子(小学1〜2年?)に
「そんなことやってたら、ペドロに怒られちゃうよ?ユタに笑われちゃうよ?いいの?」

ほら、こんな風に。
とても微笑ましい光景。

しかし、勇太たちって何歳なのだろう?
中学生の割にはいじめっ子とのやり取りがガキっぽい。
数学の授業内容も「三角形」とか「頂点」だし。
でも、小学生だとしたら、配役の年齢が大問題だ。

帰り道にすぐ後ろを歩いていた3人の大阪弁女性。
立見席で号泣していた人たちだ。
「これって小学生の話やったっけ?大作(登場人物)の頭頂部やばないん?」
「みんな私服やのに、何で1人だけ学ランなん?お兄さんのお下がりし立て直してもらったんかな?」
「ていうかユタのファッションセンスやばすぎんの?」

全部的を射ていて、笑いを堪えるのに必死だった。

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