大学でも吹奏楽をやっているが、ここはできて2年目のちっぽけなサークルだ。それでも今では20人弱が集まり、年に数回キャンパスの一画を借りて演奏するようになっている。今日が本番だった。

軽食堂が入っていて学生の憩いの場となっている建物のロビーを借りてセッティング……なのだが、僕は2限にサボれない講義が入っていてどうしても手伝えず、講義が終わると急いでやってきてすぐに演奏、というあわただしい形になった。

演奏会の予告はしたものの、まだ全然本格的とは言えないのでホールを借りるような危ない真似はできない。小さな一画で十分だ。観客も30人程度だがそのほうが逆に安心する。曲も5曲、30分程度の演奏だし。

今回はクラシカルなのを1曲、後はラテンにディズニー音楽、ニューミュージックと今考えてみればやけにバランスが良い。真面目なのと派手なもの、ゆっくりで耳障りのいいものを交互に取り入れたので聞いてくださった方にもおそらく聞きやすく、楽しんでいただけたのでは、と思う。ラテンの曲をやったあとは人数の割に大きな拍手がもらえて嬉しかった。これがあるから音楽ってやめられない。

もう1部、4限後の部も終わり記念写真も撮って後片付けもし、さぁこれから打ち上げだ、と思っていると急に父から電話。何事かと思って取ると
「今新幹線で東京向かいよんやけど夜空いとるか?」

何でこんなに突発なんだ。今から打ち上げ……。
しかし、父にこの前会ったのは3月、サークルで呑んだのはこの前は5月、そして、偶然なのだがこの日は父の誕生日であった。いくら演奏会の打ち上げと言っても、滅多に会えなくなった父の、それも誕生日に会おうと誘われたのに行かないのは親不孝だろう。

打ち上げを無理言ってキャンセルしてもらい、待ち合わせ場所の新宿に向かった。「西口改札で」と言ったのに「中央西口」に出てしまう父。何となく予想はしていたが。3ヶ月ぶりじゃさすがに殆ど変わっていない。

「何食おうか?」と言いながら歩いていると、父が「広島風お好み焼き」の文字に惹かれていたので、「自分の誕生日くらいもっとええもん食え」と止める。年に1度なんだから。

結局、居酒屋の和民で乾杯。たくさんの料理と酒を前に真面目な話と与太話。父は何やらベトナムに住みたいらしい。理由を聞くと
「物価も安いし1000万もあれば従業員20人の工場も持てるんぞ。料理も美味いしゴルフ場もたくさんあるし。」

もちろん止めました。酔っ払いの言うことだと思って。

腹いっぱい食べて2時間半ほど入り浸り、父は五反田のホテルへ、僕は帰宅。思ったことは、香川だろうが東京だろうが、自宅だろうが居酒屋だろうが、やってることは一緒だ、てこと。雰囲気や会話を作るのは場所じゃない。

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