竹内真著「カレーライフ」
2003年3月10日本当はそう高級でもないのだけれど、小さな頃の「ごちそう」と言えば「カレー」だった。ニンジンが嫌いでもカレーに入っていたらぺろりと食べられてしまう、そんな不思議なことも引き起こしてしまう「まほうのごちそう」だった。
調理師学校を卒業したばかりのケンスケは、ファミレスに就職が決まっていた。が、ある日父が急死、ケンスケには洋食屋を営んでいて、カレーをいつも食べさせてくれた祖父の店の権利書が残った。それは父が、祖父の葬儀の晩に息子といとこたちが「将来カレー屋をやろう」と話していたのを立ち聞きし、人の手に渡っていた土地と店を買い戻したものだった。こうしてケンスケは、強い理由があったわけではないもののカレー屋の開店を目指していくようになる。
普段は落ち着いているが挑発に乗りやすいケンスケと普段物事を深く考えないが時に鋭い意見をだすいとこのワタル、お互いがお互いを振り回しつつ進んでいく旅はほとんどが行き当たりばったりで、読んでいるこっちがハラハラしてしまう。だが彼らはその先の見えない旅に困惑しつつも、興味本位で次々と行動する。時にはひどい目にもあっているが、とにかく楽しそうなのだ。ワタル以外のいとこたちはそう簡単にカレー屋経営に協力してくれるわけではないけれど、それだけに能天気さと真剣さを併せ持つ2人とのかけあいが面白い。
2段構成460ページと言う長編が為せることなのか、筆者は登場人物と彼らの旅の軌跡を、時には長い回想シーンや些細な話で補完しながら、見事に著している。もともと僕は話を読みながらその様子をぼんやりと頭の中に映像として浮かべるほうなのだが、この話は特にくっきりと映像に映し出すことができ、その分だけとても身近なように感じられ、どんどん引き込まれていった。
本書を帰省中の電車の中で読了、岡山で親に電話した時に「夕飯何がいい?」と聞かれたが、「カレー」と即答してしまった。実家のカレーが好きだ。何故だか、僕が一人で作って独りで食べるものより美味しく感じる。洋食屋の特製カレーじゃないけれど。
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竹内真著 「カレーライフ」 2001
調理師学校を卒業したばかりのケンスケは、ファミレスに就職が決まっていた。が、ある日父が急死、ケンスケには洋食屋を営んでいて、カレーをいつも食べさせてくれた祖父の店の権利書が残った。それは父が、祖父の葬儀の晩に息子といとこたちが「将来カレー屋をやろう」と話していたのを立ち聞きし、人の手に渡っていた土地と店を買い戻したものだった。こうしてケンスケは、強い理由があったわけではないもののカレー屋の開店を目指していくようになる。
普段は落ち着いているが挑発に乗りやすいケンスケと普段物事を深く考えないが時に鋭い意見をだすいとこのワタル、お互いがお互いを振り回しつつ進んでいく旅はほとんどが行き当たりばったりで、読んでいるこっちがハラハラしてしまう。だが彼らはその先の見えない旅に困惑しつつも、興味本位で次々と行動する。時にはひどい目にもあっているが、とにかく楽しそうなのだ。ワタル以外のいとこたちはそう簡単にカレー屋経営に協力してくれるわけではないけれど、それだけに能天気さと真剣さを併せ持つ2人とのかけあいが面白い。
2段構成460ページと言う長編が為せることなのか、筆者は登場人物と彼らの旅の軌跡を、時には長い回想シーンや些細な話で補完しながら、見事に著している。もともと僕は話を読みながらその様子をぼんやりと頭の中に映像として浮かべるほうなのだが、この話は特にくっきりと映像に映し出すことができ、その分だけとても身近なように感じられ、どんどん引き込まれていった。
本書を帰省中の電車の中で読了、岡山で親に電話した時に「夕飯何がいい?」と聞かれたが、「カレー」と即答してしまった。実家のカレーが好きだ。何故だか、僕が一人で作って独りで食べるものより美味しく感じる。洋食屋の特製カレーじゃないけれど。
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竹内真著 「カレーライフ」 2001
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