東野圭吾著「トキオ」を読む。
2002年11月13日自分の人生を変えた人は誰だっただろう。
今まで生きてきて出会った人の数はとても
数え切れるものではない。
家族、親友、恩師、どれだけの人が自分に影響を
与えてきたのだろう。
その人がいなかったら自分の人生はどうなっていたか、
想像することもできないし仮定することも不毛なことなのかもしれない。
不治の病に倒れた息子・時生の最期が近付いている時、
病室の外で父親の拓実は妻に、20年以上前に花やしきで出会った
不思議な青年「トキオ」との冒険を語りだす。
その青年は、初対面にも拘わらず拓実について
いろいろなことを知っていた。
姿形は違うものの、自分の息子「時生」としか思えないのだった。
はじめは、拓実の性格が上手く掴めなくて話に入り込むのに
苦労した。正義漢と自堕落なところが混ざり合う、
そして短気で結果を急ぐ。
トキオが「あの人の若気の至りは見ていられない」
と呟くのもわかる気がする。
拓実は、トキオと出会ってともに行動していくうちに
今まで向かい合おうとしなかった過去について真剣に考え
変わっていくのだが、未来を知っているが故に
拓実を誘導していく節があるトキオに少し違和感を
感じざるを得ない。
もちろん未来を知ることの無い拓実の無鉄砲さや頑固さの
お陰でトキオの目論見はいろいろと裏切られていくのだが。
裏切っていく拓実のほうに、逆に人間味と親近感が
湧いてしまった。
トキオは後に姿を消すのだが、いなくなった後に
テレビでジュリーが歌うのを見ながら
「トキオが空を飛ぶ、か……」と呟く拓実がとても印象的だった。
しかし、卵と鶏はどっちが先だろう…。
トキオが来たから拓実の人生が変わったのか?
一番初めに、「トキオが来ない拓実の人生」があったのだろうか。
だとしたら、始めの拓実の人生はどのようなものだったのだろう。
僕は、東野氏の作品では「変身」「秘密」「むかし僕が死んだ家」
など、記憶や過去を扱う作品がとても好きで、その系統の話がとても上手な方だと思っているのだが、
「トキオ」は今までと比べると少し劣る作品だろうか、
と感じずにはいられなかった。
話をもう少し理路整然とさせて欲しかったと思う。
黒人の元ボクサーなんて人が現われた時には
どうしようかと考えてしまった。キーパーソンなのだが。
しかし、東野氏の文の書き方、表現と僕のフィーリングは
よく合うらしく、ラストでは少々涙ぐんでしまった。
時生が死出の旅路に就こうという時、拓実は時生に呼びかける。
「トキオ!花やしきで待ってるぞ」
時生の旅は、今から始まるのだ。
今まで生きてきて出会った人の数はとても
数え切れるものではない。
家族、親友、恩師、どれだけの人が自分に影響を
与えてきたのだろう。
その人がいなかったら自分の人生はどうなっていたか、
想像することもできないし仮定することも不毛なことなのかもしれない。
不治の病に倒れた息子・時生の最期が近付いている時、
病室の外で父親の拓実は妻に、20年以上前に花やしきで出会った
不思議な青年「トキオ」との冒険を語りだす。
その青年は、初対面にも拘わらず拓実について
いろいろなことを知っていた。
姿形は違うものの、自分の息子「時生」としか思えないのだった。
はじめは、拓実の性格が上手く掴めなくて話に入り込むのに
苦労した。正義漢と自堕落なところが混ざり合う、
そして短気で結果を急ぐ。
トキオが「あの人の若気の至りは見ていられない」
と呟くのもわかる気がする。
拓実は、トキオと出会ってともに行動していくうちに
今まで向かい合おうとしなかった過去について真剣に考え
変わっていくのだが、未来を知っているが故に
拓実を誘導していく節があるトキオに少し違和感を
感じざるを得ない。
もちろん未来を知ることの無い拓実の無鉄砲さや頑固さの
お陰でトキオの目論見はいろいろと裏切られていくのだが。
裏切っていく拓実のほうに、逆に人間味と親近感が
湧いてしまった。
トキオは後に姿を消すのだが、いなくなった後に
テレビでジュリーが歌うのを見ながら
「トキオが空を飛ぶ、か……」と呟く拓実がとても印象的だった。
しかし、卵と鶏はどっちが先だろう…。
トキオが来たから拓実の人生が変わったのか?
一番初めに、「トキオが来ない拓実の人生」があったのだろうか。
だとしたら、始めの拓実の人生はどのようなものだったのだろう。
僕は、東野氏の作品では「変身」「秘密」「むかし僕が死んだ家」
など、記憶や過去を扱う作品がとても好きで、その系統の話がとても上手な方だと思っているのだが、
「トキオ」は今までと比べると少し劣る作品だろうか、
と感じずにはいられなかった。
話をもう少し理路整然とさせて欲しかったと思う。
黒人の元ボクサーなんて人が現われた時には
どうしようかと考えてしまった。キーパーソンなのだが。
しかし、東野氏の文の書き方、表現と僕のフィーリングは
よく合うらしく、ラストでは少々涙ぐんでしまった。
時生が死出の旅路に就こうという時、拓実は時生に呼びかける。
「トキオ!花やしきで待ってるぞ」
時生の旅は、今から始まるのだ。
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